約30年前に大学を卒業してから私はしばらくサラリーマンをやっていました。
親は貧乏だったし自分も無一文だったので、生きるためにはサラリーマンとして自分の時間を切り売りするほか無かったのです。
千葉県にある実家から都心の会社まで約1時間。
超満員の電車にひたすら揺られてる苦痛かつ不毛な時間。
当時はまだ地下鉄にエアコンがない時代で、夏は扇風機しかありませんでした。
まだ新聞全盛期で、駅の売店で買った日経新聞を小さく折りたたんで車内で窮屈に読んだものです。
私は一応は証券マンの端くれだったので日経金融新聞という業界紙も読んでいました。
スマホなんて無かったので、当時の銀行員は「ポケットロイター」というポケベルみたいな小型端末で為替情報を見ていました。
為替レートが急変すると公衆電話に駆け込んで注文を入れるのです。
「のーぱんしゃぶしゃぶ」と言って、東大卒の銀行員が会社のカネで大蔵省の役人を接待していた時代です。
当時は電車の中で文庫本とか新書を読んでいる人も多かった気がします。

金融ビッグバンとともに自分の身辺にもビッグバンがあり、30歳の年に北海道に移住。
そして40歳の年にはサラリーマンを卒業して独立。
以来、サラリーマンの象徴とも言える満員電車とは無縁の生活を送ってきました。
夢にまで見た憧れの自由人の生活が実現。
多くの方に助けていただき、なんとか2人の子供を成人させることもできました。
いろんな仕事を取っ替え引っ替え楽しみながら、ときには世間様にご迷惑をかけながら、日本のあちこちに家を持つこともできました。

おてつたびを終えて東京に戻り、
さあ、やっと自由な老後生活だ!
そう思ったら、この年になって急になぜか満員電車に乗りたくなってきたのです。
私が若い頃は高層ビルと言ったら新宿にしか無かったのですが、いまは都内どこでも高層ビルだらけですね。
そんな都心の高層ビルに満員電車に乗って通勤して、かっこいい会社員や綺麗なOLさんと一緒に仕事をする。
英語でのミーティングを終えたお昼はオフィスの近くでちょっと豪華なランチ。
仕事終わりには同僚と軽く一杯。
一度失った、かつて輝いていた(?)自分をもういちど取り戻してみたいと思うようになったのです。

しかし私はもう55歳ですから、普通の会社なら定年です。
いまさらこんな私を採用してくれる会社があるはずありません。
バイト友達が派遣社員になるというのを聞いて、自分もひらめきました。
派遣社員としてなら、サラリーマンごっこができるようなのです。
竹中平蔵さんのおかげかもしれません。
いまはいい時代ですね(皮肉)。
以前は派遣社員というと女性のイメージでしたが、人手不足のせいか、いまはオッサンを派遣してくれる会社があるようです。
ChatGPTに相談しながら、早速、私も派遣会社に登録してみました。
(続く)

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